やけどの応急処置
《すぐに水で冷やします》
やけどをしたら、水道水でよいのですぐに(服の上からやけどした場合は服の上から) 15~30分ほど冷やします。 冷やすことによってやけどの進行を抑えたり、痛みをやわらげることができます。
広範囲の場合は低体温にならないように冷やしすきに注意が必要です。
《患部にはなにも塗らないですぐに受診しましよう》
やけど部分に薬以外のものを塗るとかぶれや細菌の感染を起こすことがありますので、患部に油や薬などを塗らずにすぐに受診してください。ティッシュをはると患部にはり付いて処置が困難になる場合がありますのではらないでください。
《患部が広い場合は入院管理が必要な場合があります》
やけどが広範囲の場合はやけどした部分の炎症で血管内の水分が移動して減少し循環障害から血圧低下を来す場合があります。全身管理が必要になりますのでこの場合は入院施設のある病院への受診が必要です。
やけどの部位や深さにより多少異なりますが、大人では中等度熱傷とよばれる2度のやけどが体表面積の15%以上を越える状態になると入院適応となります。(小児では5%以上の受傷面積)
やけどの症状と治療
やけどは皮膚が傷害された深さによって1度~3度にまでわけられています。
やけどは初期のうち(初日~48時間後くらい)まで炎症をとる処置、その後は創の状態に応じた治療が必要となりますが、やけど直後は深さの判断ができない場合が往々にしてありますので注意が必要です。
《1度熱傷(表皮熱傷)》
1度のやけどは皮膚の表面に傷害がとどまっているもので表面が赤くなっていますが水ぶくれはありません。
処置をすると翌日には赤みはひいています。通常あとは残りません。
《2度熱傷(真皮浅層熱傷、真皮深層熱傷)》
2度のやけどは表皮の下の真皮に達するやけどで真皮浅層熱傷と真皮深層熱傷の2つにわけられています。
2度真皮浅層熱傷は患部に赤みとともに水ぶくれや水ぶくれがやぶれてびらん(かわがむけて浅いきずになっていること)がみられます。治療により2週間程度で皮膚がはり、なおります。治った部分にしばらく赤みが出たり、炎症後しみができることがありますが通常ケロイドをつくることはありません。
2度真皮深層熱傷はやけどして赤みを帯びている患部の一部が白くみえ、その部分の痛みが鈍いか、なくなっています。深い傷(潰瘍) をつくっていき治るまで時間がかかり、後にケロイドを生ずる可能性がありますので部位や大きさによっては早めの植皮手術が必要になる場合があります。
《3度熱傷(皮膚熱傷)》
3度はやけどが皮下組織にまで達して、患部がのっぺりとした白色になっているか、黒くなっていて重症なやけどです。
痛みの感覚は消失しています。壊死部分の除去や植皮が必要になります。
やけどは初期のうち(初日~48時間後ぐらい)まで炎症をとる処置、その後は創の状態に応じた治療が必要となります。
やけどの経過について
あとが残らず治るのは1度熱傷です。2度浅層熱傷では色素沈着やあかみがしばらくでる場合があります。
色素沈着になってもほとんどの場合は半年~1年位のあいだに薄くなっていくことが多いです。1年を越えて残ってしまったしみはハイドロキノンの外用剤などの美容皮膚科治療で改善することができます。
2度深層熱傷以上の深さになると患部にケロイドをつくる可能性があります。
患部の皮膚がはり、治ったあと1ヶ月位して、赤く硬い盛り上がりができてきます。かゆみを伴う場合があります。皮膚がはり、治った後は予防のためヒルドイドソフトを外用、またリサべンの内服などを行います。できてしまったケロイドはステロイド外用剤やシール剤の使用、ケナコルト局注などで治療します。サポーターなどでの圧迫を試みる場合もあります。関節部分にケロイドができると硬くなった皮膚のため関節部分の運動の妨げになることがあり(関節拘縮)、この場合は手術的に拘縮の解除を行う場合があります。
症状が急に変わることもあります。疑問な点や困った事がありましたら、なるべく早目におたずねください。